TRAVAGLINI

最高峰のネッビオーロを生み出す、TRAVAGLINI

イタリア・ピエモンテ州北部、アルプスの麓に広がる小さな銘醸地ガッティナーラ。
この地で100年以上にわたり、ネッビオーロと真摯に向き合い続けてきたワイナリーが、トラヴァリーニ社です。

1920年、クレメンテ・トラヴァリーニによって創業されたこのワイナリーは、現在に至るまで5世代にわたり家族経営を続けながら、ガッティナーラという土地の価値を世界へ伝えてきました。

その歴史は単なるワイナリーの歩みではありません。
それは、北ピエモンテ最高峰のネッビオーロを守り続けてきた、一族の情熱の物語でもあるのです。

創業家ファミリー。現オーナーは4代目のチンツィア・トラヴァリーニと夫であり、醸造家であるマッシモ・コッラウトです。また、娘たちのアレッシアとカロリーナもワイン造りにジョインしています。

ローマ時代から続く銘醸地、ガッティナーラ

ガッティナーラのワイン造りの歴史は、ローマ時代にまで遡ります。ルネサンス期にはその名声が頂点に達し、19世紀末には約600ヘクタールの栽培面積を誇る、ヨーロッパ有数のワイン生産地として栄えていました。

その歴史は、バローロよりも古いとも言われています。

しかし20世紀初頭、フィロキセラ被害や度重なる気候災害、さらに二度の世界大戦によって、多くの生産者が廃業を余儀なくされ、産地は苦難の時代を迎えます。

そんな時代に、この土地の可能性を信じたのが創業者クレメンテ・トラヴァリーニでした。

彼は荒廃したガッティナーラの未来を信じ、自社畑のブドウによるワイン造りを開始。やがてトラヴァリーニ社は、産地を代表する存在へと成長していきます。

そして1958年、3代目ジャンカルロ・トラヴァリーニが革新的な技術と先進的な醸造手法を導入。ワイン品質を飛躍的に高めただけでなく、ガッティナーラという産地全体の評価向上にも大きく貢献しました。

1967年にDOC、1990年にDOCGへ昇格したガッティナーラ。その背景には、こうした生産者たちのたゆまぬ努力がありました。

現在トラヴァリーニは、約55ヘクタールの自社畑を所有する、ガッティナーラを代表する生産者のひとつとなっています。

火山が生み出す、唯一無二のテロワール

ガッティナーラDOCGは、北ピエモンテに位置する小さな銘醸地。ブドウ畑は標高約260〜480mの丘陵地帯に広がり、冷涼なアルプスの影響を受けながら、ネッビオーロ栽培に理想的な環境を形成しています。

この地最大の特徴は、約7000万年以上前の巨大火山のカルデラ活動によって形成された、稀有な火山性土壌にあります。

斑岩、玄武岩、花崗岩、鉄分、石灰岩など、多様な鉱物を豊富に含むこの土壌は、ワインへ深いミネラル感、複雑なアロマ、そして長期熟成に耐えうる骨格を与えます。

さらに、標高4,634mのモンテ・ローザからわずか約30kmという立地も、ガッティナーラの個性を形づくっています。

アルプスから吹き下ろす冷たい風、昼夜の大きな寒暖差、霧の少ない健全な環境、そして豊かな日照。この特異なミクロクリマこそが、エレガンスと力強さを兼ね備えたネッビオーロを育む理由なのです。

“歪んだボトル”に宿る、機能美と哲学

トラヴァリーニを象徴する存在といえば、独特の波打つボトルシェイプです。このアイコニックなボトルは、1958年に3代目ジャンカルロ・トラヴァリーニが考案し、特許を取得したオリジナルデザイン。

「素晴らしいワインは、素晴らしいボトルに入れるべきだ」

その哲学から誕生しました。

通称「ボトル・リトルタ(歪んだボトル)」と呼ばれるこのフォルムは、単なるデザインではありません。

長期熟成で生じる天然の澱をボトル内部へ自然に留めることで、デキャンタージュを行わずとも、美しい状態のワインをグラスへ注ぐことができます。

さらに、濃色ガラスによる遮光性や、長期熟成に適した構造も備えています。

芸術性と合理性を兼ね備えたこのボトルは、まさにトラヴァリーニ社の象徴といえるでしょう。

ガッティナーラを誠実に映す、伝統的醸造

トラヴァリーニ社の醸造は、温度管理機能付きのステンレスタンクで丁寧に行われます。

しかし彼らが本当に重視しているのは、テクノロジーではなく、土地の個性を誠実に映し出すこと。

そのため熟成は主に地下セラーの古大樽で行われ、ガッティナーラ本来のテロワールを、最も古典的かつ伝統的な形で表現しています。

一部キュヴェではフランス産オークの小樽も使用されますが、その目的はワインを飾ることではなく、ネッビオーロの個性をより深く引き出すため。

トラヴァリーニ社は、100年以上にわたり受け継がれてきた哲学とともに、“ガッティナーラだからこそ生まれる味わい”を今も守り続けているのです。

3代目ジャンカルロ・トラヴァリーニの言葉

“La natura ti dà il massimo, poi è l'abilità del vignaiolo che fa la differenza: deve saper togliere il meno possibile da ciò che la natura offre.”

“自然は最高のものを与えてくれる。 醸造家の手腕が他と差をつけることになるでしょう。醸造家は自然が与えてくれたものをできるだけありのままワインの中で表現しなければならないでしょう。”