今でも、羊の移動放牧が行われている自然豊かな州

ワイン造りは、古代から行われてきたが、地元消費が中心であったため、世界的にも、イタリアであまり知られていない州だとされています。
古代ローマ崩壊後は、ランゴバルドのベネヴェント公国、ノルマン、ナポリ王国の支配を経て、イタリア王国に統一されました。人口は32万人弱と少なく、経済はあまり発展しておらず、穀物、ブドウ、オリーヴの栽培農家や、零細手工業が中心です。
一方で、いまでも羊の移動放牧が行われており、自然は汚染されておらず、保存されていて美しく観光業は伸びつつあります。伝統、家族を大切にする保守的な人たちが多く住んでいます。
古代からワイン造りが行われてきたモリーゼ州

近年、DOCモリーゼMolise、DOCティンティリア・デル・モリーゼTintilia del Moliseが加わりDOCが4つになりました。
アペニン山脈に近いイセルニア県では、DOCペントロ・ディ・イセルニアの呼称で白、赤、ロゼワインが造られています。夏は暑すぎず、乾燥していてブドウ栽培に適しています。
カンポバッソ県は低めの丘陵地帯が続き、DOCビフェルノで白、赤、ロゼワインが造られています。海岸地域に近い地域は、地中海気候で、果実味が豊かなワインができます。
モリーゼの唯一の土着品種と言えるのが、黒ブドウのティンティリアで、濃い紫をしたプラムのアロマを持つしっかりとした赤ワインです。
隣のアブルッツォ州によく似た食文化

アブルッツォと同じく移動放牧が盛んで、羊飼い料理も根付いています。チーズやサラミは種類が豊富です。
チーズではカッチョカヴァッロCacciocavalloが有名です。
カーポフレッドCapofreddo(ソプレッサータSoppressata)は茹でた豚に唐辛子などを入れて、固めたもので、前菜に食べられています。
パスタではカヴァテッリCavatelliが有名です。卵を使用せず、硬質小麦と水だけで手打ちされたショートパスタで、豚のミートソースやトマトソースと和えられています。アブルッツォと同じくスパゲッティ・アッラ・キタッラSpaghetti alla chitarraはモリーゼでも一般的です。ポレンタPolentaもよく食べられています。メインディッシュは豚肉、羊肉を使ったものが多く、唐辛子を多用することもアブルッツォに似ています。
海岸に面したテルモリTermoliのブロデット・ディ・ペッシェBrodetto di pesceは10種類近い魚介類を使った魚のスープで、アドリア海ならではの味わいです。
オリーヴ・オイルは良質でD.O.P.オリオ・モリーゼOlio Moliseに認定されています。
出典・引用・参考資料/
『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社