アルト・アディジェを代表する、革新のワイナリー

イタリア最北のワイン生産地、アルト・アディジェ。アルプスの麓に広がるこの地は、地中海性気候の穏やかな陽光と、高標高がもたらす冷涼な夜の寒暖差によって、唯一無二の緊張感とエレガンスを備えたワインを生み出しています。州全体のワイン生産量はイタリア国内のわずか1%以下でありながら、DOCワイン比率は国内最大を誇る、イタリア屈指の高品質ワイン産地として知られています。
この地で、アルト・アディジェワインの品質基準を新たな次元へ押し上げた存在。それが、エレナ・ヴァルヒ社です。
エレナ・ヴァルヒ社は、単なる家族経営ワイナリーではありません。
アルト・アディジェという土地の可能性を世界へ示した、革新の象徴として、国際的な評価を確立してきた存在なのです。
若き建築家エレナ・ヴァルヒが起こした革命
1980年代、若き建築家であったエレナ・ヴァルヒ社が、トラミン村で長い歴史を持つヴァルヒ家へ嫁いだとき、彼女がアルト・アディジェのワイン界に大きな変化をもたらすとは、誰も予想していませんでした。
しかし、エレナは強い信念を胸に、品質に一切妥協しないワイン造りへ挑みます。
彼女が着目したのは、“量”ではなく“土地の個性”。
それまで十分に注目されていなかった単一畑の価値にいち早く目を向け、アルト・アディジェのテロワールをより深く映し出すワイン造りを追求しました。
その革新性は、やがて地域全体の品質スタンダードを押し上げ、エレナ・ヴァルヒ社の名は、アルト・アディジェを代表する存在として世界へ知られるようになります。
単一畑が映し出す、唯一無二のテロワール

エレナ・ヴァルヒ社の品質を支えているのが、ふたつの象徴的な単一畑——「カステル・リングバーグ」と「カステラーツ」です。
カルダーロ湖を望む20ヘクタールの「カステル・リングバーグ」は、1620年にハプスブルク家によって建てられたルネサンス様式の城を擁する、エレナ・ヴァルヒ社のモノポール(単独所有畑)。ここからは、ミネラル豊かでエレガントな数々の受賞ワインが生まれています。
一方、「カステラーツ」は、トラミン村を見下ろす南向きの急斜面に広がる特別な畑。標高330〜380m、63度にも及ぶ傾斜、石灰質土壌、そして昼夜の大きな寒暖差という、アルト・アディジェ最高峰の条件を備えています。
エレナ・ヴァルヒ社は、このふたつの卓越した畑の個性を最大限に引き出すことで、“土地が語るワイン”を生み出し続けているのです。
歴史と革新が共存するセラー

エレナ・ヴァルヒ社のセラーは、かつてのイエズス会修道院を活用した歴史的空間です。
手彫り装飾が施された大樽、フレンチバリック、温度管理されたステンレスタンクが並ぶその空間には、伝統と革新が美しく共存しています。
2015年には発酵セラーの修復を完了し、複数のソーティング・ステーションを備えたグラヴィティ・フロー・システムを導入。ブドウへ余計な負荷をかけることなく、繊細な個性をそのままワインへ映し出す環境を整えました。
自然と共生する、家族の哲学
エレナ・ヴァルヒ社にとって、持続可能性とは単なる取り組みではありません。
それは、ワイン造りの根幹を支える哲学そのものです。
畑では自然との調和を重視し、土壌や微小気候、生態系への敬意を持ちながらブドウ栽培を実践。さらに近年では、高い酸を求めて600m、1000m級の高地にも新たな畑を開拓し、気候変動へ対応しながら品質向上を追求しています。
エレナ・ヴァルヒ社のワインに宿る美しい緊張感は、こうした自然への深い敬意から生まれているのです。
娘たちへ受け継がれるワイン造り

現在、ワイナリーを牽引するのは、娘であるジュリア氏とカロリーン氏。エレナとともに、家族の哲学と品質主義を受け継ぎながら、さらなる進化を続け、女性たちが作り出す繊細で優美なワインとしても世界的に注目され続けています。
エレナ・ヴァルヒ社の挑戦は、今もなお、アルト・アディジェの地から未来へ向かって続いているのです。
創業者エレナ・ヴァルヒ氏の意志