地中海の真ん中に浮かぶ島
サルデーニャ州は、地中海に浮かぶイタリア第2の大きさを誇る島です。新石器時代から人が暮らしており、独特な石造建築「ヌラーゲ遺跡」を残した古代文明で知られています。その後も、フェニキア人やローマ帝国、さらにはスペイン系の王国など、さまざまな支配を受けてきました。現在はイタリア共和国の自治州となっています。
この島の人々は、もともと羊飼いや農民としての生活を大切にしてきました。そのため、海を越えた交易にはあまり積極的ではなく、独自の文化や習慣が今も色濃く残っています。特に内陸部ではその傾向が強く、サルデーニャ語もイタリア語とは異なる独立した言語として話されています。
サルデーニャの土壌はとても古く、花崗岩や玄武岩が多く見られます。特に北東部は花崗岩に覆われており、ワインの味わいにも影響を与えています。気候は典型的な地中海性気候で、夏は暑く乾燥し、冬は比較的温暖です。さらに「マエストラーレ」と呼ばれる涼しい風が吹くことで、ブドウが過熟せず、バランスの良いワインが生まれます。

サルデーニャの代表的なワイン
この島で唯一のDOCGワインが、ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラです。北東部の花崗岩の丘陵地帯で造られ、トロピカルフルーツのような香りと、やや高めのアルコール度数を持つ、スケールの大きな白ワインです。ほのかな塩味も感じられ、海に囲まれた島らしい魅力があります。
同じ品種から造られるヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャも広く生産されており、こちらも人気の高い白ワインです。
赤ワインでは、カンノナウ・ディ・サルデーニャが有名です。フランスのグルナッシュと同じ品種とされますが、サルデーニャのものはより引き締まったフレッシュな味わいが特徴です。内陸のバルバージャ地方や南東部オリアストラ地方では、特に高品質なものが造られています。
そのほかにも、西海岸のマルヴァジア・ディ・ボーザやヴェルナッチャ・ディ・オリスターノといった、熟成による複雑な風味を楽しむワインもありますが、生産量は限られています。
南西部のカリニャーノ・デル・スルチスでは、古木から力強く凝縮感のある赤ワインが造られています。また、「ヌラグス」という品種から造られる、軽やかで親しみやすい白ワインも日常的に楽しまれています。
食文化との魅力的な組み合わせ
サルデーニャの料理は、イタリア本土とはひと味違う個性があります。

薄くてパリパリとしたパン「パーネ・カラサウ」は、もともと羊飼いの保存食でした。手打ちパスタの「マッロレッドゥス」は、トマトやサルシッチャ、ペコリーノチーズの濃厚なソースとよく合います。また、粒状のパスタ「フレゴラ」は、アサリとトマトのソースで食べるのが定番です。
島を代表する料理といえば、子豚の丸焼き「ポルチェッドゥ」。香ばしくジューシーな味わいで、カンノナウとの相性は抜群です。
さらに名産の「ボッタルガ(カラスミ)」は、薄くスライスして前菜にしたり、すりおろしてパスタに加えたりして楽しみます。羊のチーズも豊富で、「フィオーレ・サルド」や「ペコリーノ・サルド」、「ペコリーノ・ロマーノ」などが有名です(ペコリーノ・ロマーノは名前に反して、主にサルデーニャで生産されています)。
サルデーニャ州は、独自の歴史と文化、そして自然環境が生み出す個性豊かなワインが魅力の地域です。海の恵みと大地の力強さを感じる味わいを、ぜひ一度楽しんでみてください。
出典・引用・参考資料
『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国発行 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社