フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州


1970年代からワインの近代化が急速に

フリウリは、ローマ時代から重要な地方で、アクイレイアは古代ローマでも最も重要な都市のひとつでした。当時プルチヌムPulcinmuと呼ばれるワインが名声を誇っていましたが、これはグレーラ(以前はプロセッコと呼ばれていた品種)の先祖ではないかと言われています。中世には、アクイレイア総大司教が支配をしました。

その後、ヴェネツィア共和国の支配を経て、ハプスブルグ帝国領となり、トリエステはハプスブルグ帝国の港として重要な役割を果たし、文化的に栄えました。1866年にフリウリはイタリア王国となりましたが、トリエステは第一次世界大戦後に完全にイタリア王国領となりました。

第二次世界大戦後、トリエステはトリエステ自由地域として国際連合管理下に置かれたが、1954年にイタリア共和国に復帰しました。

ヴェネツィア・ジュリアは、ハプスブルグ帝国下で栄えたが、フリウリは農業中心で非常に貧しい地方でした。1970年代から工業化が進み今ではイタリアで最も豊かな地域になっています。

現在ではイタリア語、フリウリ方言以外に、スロヴェニア語、ドイツ語も州の公用語として認められています。フリウリ人は、寡黙で頑固な人が多い反面、義理堅い人たちが多いのが特徴です。

イタリアを代表する高級白ワインの産地

白ワインの産地として知られているフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州。その名声は、比較的新しく1970年代に意欲的な生産者たちが他産地に先駆けて、クリーンでフレッシュな白ワインを造り出したことからはじまります。特に、DOCコッリオ/コッリオ・ゴリツィアーノ Collio/Collio Goriziano、DOCフリウリ・コッリ・オリエンターリ Friuli Colli Orientaliは、日本でも見かけることが多く、高級白ワインの産地として、高く評価されています。

最も有名な、DOCコッリオ/コッリオ・ゴリツィアーノ Collio/Collio Gorizianoが生まれるのは、スロヴェニアとの国境に広がる丘陵地帯です。標高は50~120mと高くないが、フリッシュflyschと呼ばれる柔らかい泥灰土と砂岩の混ざる石灰質土壌で、水はけがよいのが特徴です。そこから、良質の果実と適度なミネラル分を持つ、心地よくかつ複雑な白ワインが生まれています。

DOCフリウリ・コッリ・オリエンターリ Friuli Colli Orientaliで造られるピコリットPicolitはイタリアを代表する甘口ワイン。イタリア最古の土着品種のひとつとも言われています。完熟フルーツの甘くエレガントな香りで、上品な酸味が特徴。明るいイエローからアンバーゴールドの色彩も美しいです。

一方で、西側に広がる広大なフリウリ平野では、低価格の飲みやすいデイリーワイン(DOCフリウリ・グラーヴェFriuli Grave、DOCフリウリ・アンニア Friuli Annia、DOCフリウリ・ラティザーナ Friuli Latisanaなど)が大量に造られています。これらのマイナー呼称を包括してひとつにまとめるために2020年にDOCフリウリ/フリウリ・ヴェネツィア・ジュリアFiuli/Friuli Venezia Giuliaが誕生しました。昨今では、この呼称を使い始めた生産者も増えたのが特徴です。

代表的な土着品種は、フリウラーノ(以前はトカイと呼ばれていた)、リボッラ・ジアッラだが、ピノ・グリージョ、ピノ・ビアンコ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランでもよい成果が出ています。

白ワイン人気が先行した、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州ですが、近年では土着品種による赤ワインにも注目が集まり、スキオッペッティーノ、レフォスコ、タッツェレンゲで個性的なワインが造られています。カベルネ、メルロにも複雑なものがあります。

余談ですが、グラッパ蒸留も盛んで、フリウリの地域の人はイタリアで一番お酒が強いと言われています。

フリウリの料理は、シンプルな農民料理

シンプルでストレートな味わいなものが多く、トリエステはハプスブルグ帝国の港であったこともあり、ラテン、ゲルマン、スラヴの3つの食文化が混ざり合っています。

この州で最も有名な食材は、サン・ダルニーレの生ハムProsciuto di San Danieleです。しっかりとした陰影に富んだ味わいが支持されています。生ハムと並んで前菜でよく食べられているのが、すりおろしたモンタージオMontasioチーズの粉にトウモロコシの粉を混ぜたものを焼いて薄いオムレツのように仕上げたフリーコFricoです。

イストリア地方の名物ヨータJotaは豚肉、スモーク・パンチェッタ、インゲン豆、クラウト、トウモロコシの粉の濃厚なスープです。ニョッキ・アッレ・プルーニェGnocchi alle prugneは干しプラム入りのニョッキにバター、シナモン、砂糖のソースをかけたもので中央ヨーロッパの影響が色濃い料理として知られています。

メインディッシュで有名な、パプリカを使ったハンガリー風牛肉のシチューのグーラッシュGoulash はハプスブルグ帝国支配下にあった時代の名残でもあります。また、この州でもポレンタはよく食べられています。

出典・引用・参考資料/

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社