美しい自然に恵まれたマルケ州

観光資源として美しい自然(特にビーチ)だけでなく、「ルネッサンスの理想都市」とまで褒めたたえられたウルビーノ、イエス・キリストの生家が移されたとされる重要な巡礼地ロレート、古代から栄え続けた港町アンコーナ、古代のローマ以前からこの地に暮らしていたピチェーノ人の都であるアスコリ・ピチェーノなどがあります。
美しい緑の丘陵地帯では、ブドウが栽培されており、白ワイン、赤ワインがバランスよく造られています。白ワインの中心となるヴェルディッキオはイタリアの土着白ブドウでも最も興味深いもののひとつとして考えられています。
白ワイン、赤ワインがバランスよく造られている丘陵地帯

北のぺサロ県の内陸部には、DOCコッリ・ペサレージColli Pesaresiがサンジョヴェーゼ中心の赤ワインで知られています。州都アンコーナ周辺には、DOCヴェルディキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージverdicchio dei Castelli Jesiの産地があります。ヴェルディキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージは、1950年代にアンフォラ形のボトルで世界的に成功を収めて、イタリアレストランのシンボルになった歴史があります。1980年代からは普通のボトルが主流になり、品質も向上しました。ヴェルディキオは、酸がしっかりとした品種で、早飲みのフレッシュ&フルーティーなシンプル白ワインから、長期熟成能力を持つ深みのあるワインまでさまざまなタイプの白ワインを生みます。
モンテ・コーネロ岬周辺では、DOCロッソ・コーネロRosso Coneroが造られています。品種は、モンテプルチャーノが85%以上です。ここから独立して、2004年にDOCGコーネロConeroが誕生しました。こちらもモンテプルチャーノが85%以上ですが残りはサンジョヴェーゼと定められています。また、アロマティックで個性的な赤ワインラクリマ・ディ・モッロも記憶に残る一杯です。
マテリカ渓谷では、DOCヴェルディッキオ・ディ・マテリカVerdicchio di Matelicaが造られています。この地では、酸が強く、ミネラル分溢れる、長期熟成するヴェルディッキオが生まれています。
セッラペトローナでは、珍しいヴェルナッチャ・ネーラ品種で、DOCGヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナ Vernaccia di Serrapetronaが造られています。これは黒胡椒のアロマを持つ珍しい発泡性の赤ワインで、辛口から甘口まで幅広いタイプがあります。
海と山の幸が奏でる地中海料理

マルケ州で最も有名な料理は大粒のグリーンオリーヴにミンチを詰めてフライにしたオリーヴェ・アスコラーネOlive ascolaneです。アペリティフの時によく出てくる定番メニューで、今はイタリア全土で食べられています。
豚のサラミのチャウスコロCiauscoloも有名です。熟成期間が短く、生に近く、やわらかいので、パテのようにパンに載せて食べます。ラクリマ・ディ・モッロ・ダルバやヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナとの相性は抜群です。
もう一つの州を代表する料理がヴィンチスグラッシVincisgrassiで、生ハム、パンチェッタ、鶏の内臓などのソースを入れた濃厚なラザーニャです。これにはDOCGコネロがマッチします。アドリア海の魚でつくるスープのブロデット・ディ・ペッシェBrodetto di pesceは海岸各地で造られるが、アンコーナのものが有名です。ウサギに詰め物をしてオーヴンで焼いたコニリオ・イン・ポルケッタConiglio in porchetta はデリケートな味わいで、ロッソ・ピチェーノにとても合います。
出典・引用・参考資料/
『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社