イタリアで最も小さな州
イタリア最大の州、シチリアの8分の1の面積で、人口も最も少なく約13万人弱。北はスイス、西はフランスと国境を接します。文化的には、フランスのサヴォワ県、スイスのヴァレー州と関係が深く、フランス語圏の自治州で、フランス語はイタリア語とともに公用語とされています。
ほとんどが山岳地帯で、耕作面積が少なく、貧しい州ではありますが、古代ローマ時代からイタリアとフランス、スイスを繋ぐ交通路として重要な役割を果たしてきました。
住民のほとんどはドーラ・バルテア川沿いに暮らしていいます。住民は山の民らしくやや閉鎖的なところがありますが、控えめで勤勉な人が多いのも特徴です。
生産量が少ないので、州外でほとんど手に入らないワイン

DOCワインは、ヴァッレ・ダオスタ/ヴァレ・ダオステValle d'Aosta/Vallee d'Aosteのみでありますが、さまざまな品種表示、地理表示が認められています。
シャープな酸とミネラルを持つ細身でデリケートなブラン・ド・モルジェ・エ・ド・ラ・サルBlanc de Morgex et de La Salle。ここの畑は、標高900m~1300mに位置しておりヨーロッパでもっとも高いと言われています。
プティ・ルージュをベースにした赤ワインであるアンフェール・ダルヴィエールEnfer d’Arvier、トッレッテTorrette、シャンバーヴ・ルージュChambave Rouge、ニュス・ルージュNus Rouge、
ピノ・グリで造られる豊潤かつフレッシュなマルヴォワジー・ド・ニュスMalvoisie de Nus、
ミュスカで造られる香り高くフレッシュなミュスカ・ド・シャンバーヴMuscat de Chambave(甘口もある)、
ピエモンテとの州境に近い地域でピコンテンドロと呼ばれるネッビオーロをベースに造られる繊細なドンナスDonnasなど興味深いワインが数多くあるのが特徴です。
ミュラー・トゥルガウ、シャルドネ、プティ・アルヴィンによる白ワインや、ピノ・ネーロ、ガメイ、フミン、コルナラン、マヨレによる赤ワインも大変良質のものが多いです。
イタリアだけど、オリーブオイルではなくバターとラードが中心!?

山岳地帯のため、非常に寒冷な気候の地域です。そのため、身体を温め、エネルギーを維持するために、高カロリーでコクのある動物性油脂(バターやラード)が好まれてきました。
乳製品が豊富で、フォンティーナは世界的に有名なチーズです。
土地柄、昔からジビエ(カモシカなど)もよく食されてきました。パンには小麦ではなくライ麦が使われることが多く、トウモロコシによるポレンタもよく食されています。
フォンティーナを使ったフォンドゥータFonduta(チーズフォンデュ)は州を代表する料理です。ポレンタにフォンティーナとバターを載せたポレンタ・コンチャPolenta Conciaはヴァッレ・ダオスタらしい味わいが特徴です。
温かいスープもよく食べられ、キャベツ、パン、フォンティーナのスープのズッパ・ヴァルペッリネーゼZuppa valpellineseが有名です。
仔牛のカツレツにフォンティーナを挟むとコストレッタ・アッラ・ヴァルドスターナCostoletta alla valdostanaになります。カモシカの煮込み シヴェット・ディ・カモーショCivet di camoscioはジビエの代表的料理として挙げられます。
華やかな料理ではなく、どちらかと言えば地味ですが、とても味わい深いものが多いです。
『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社