ヴェネト州

品質、生産量でも圧倒的な存在感を誇るヴェネト州

常にイタリアでワインの生産量の1位、2位を争う生産地で、高品質なワインを製造し、イタリアワインをリードしているヴェネト州。国際ワイン見本市ヴィーニタリーが開催されるのもヴェローナで、世界から「イタリアワインの首都」と常に注目されています。

州都ヴェネツィアは7世紀に小さな島が集まって誕生。徐々に勢力を拡大し、東方貿易で栄え、パドヴァやベルガモの内陸部から、キプロス島、クレタ島なども支配下に治める巨大な共和国となり、「アドリア海の女王」と讃えられた歴史背景があります。

ヴェネツィア共和国は海岸地帯と農業地である内陸部で文化が違うのもポイントです。

ヴェネツィアの影響を受けた地域では、音楽やアートをはじめとする洗練された文化が花開き、18世紀の劇作家カルロ・ゴルドーニなど文化史上の巨人を数多く輩出しました。

一方、内陸部は非常に保守的な風土で、素朴な農民文化、ワインやグラッパなどお酒を飲み交わすことが重要とされてきました。第二次世界大戦後に高度経済成長の波に乗り、工業が発展し、イタリアで最も豊かになりました。

やさしい味わいのワインが多いヴェネト州

西部のヴェローナ県では、バルドリーノBardolino、ヴァルポリチェッラValplicella、ソアーヴェSoaveという世界的に有名な3つのDOCが圧倒的な存在感を示しています。

ガルダ湖の周辺は非常に温暖で、その影響は、バルドリーノ地区に顕著ですが、ヴァルポリチェッラ地区までに及びます。ガルタ湖からの温かい風、北にそびえるモンティ・レッシー二山塊からの冷たい風により、昼夜の寒暖差が激しくブドウのアロマ形成に良い影響があります。

DOCバルドリーノは、軽めで香しく優美な果実味があり、後口にほのかな苦みと塩っぽいトーンがあり飲みやすいチャーミングなワインです。

バルドリーノ・スペリオーレは、DOCGに昇格していて、最低アルコール度数12度以上で、最低1年の熟成が義務付けられています。特筆すべきは、キアレット(淡いピンク色のロゼ)と呼ばれる、辛口ロゼの味わいです。

バルドリーノからアルジェ川を越えて東側に行くとDOCヴァルポリチェッラが育つ美しい丘陵地帯が広がります。ここでは、4種類(ヴァルポリチェッラValplicella、ヴァルポリチェッラ・リパッソValpolicella Ripasso、アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラAmarone della Valpolicella、レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラRecioto della Valpolicella)のワインが造られています。

中でも昨今、世界的にブームとなっているのがアマローネです。ブドウを陰干しすることによりドライフルーツ(特にプラム)の魅力的なアロマを持ち、ヴェルヴェットのようななめらかな口当たりを持つ深遠な赤ワインが生まれます。食事なしでも楽しめるワインで、北米、北欧市場で大躍進しており、生産本数が急上昇しています。

一方で、甘口ワインレチョートは愛好家の間で消費されているだけで生産本数は少ないです。

さらに東に進むと、DOCソアーヴェ生産地区があります。石灰土壌と玄武岩土壌が混ざる丘陵地帯で造られるソアーヴェ・クラッシコは好ましい果実、生き生きとした酸、適度のミネラルを持ち、調和のとれた味わいで、長期熟成能力も高いのが特徴です。イタリアを代表する高品質白ワインとして、世界を魅了しています。

東部トレヴィーン県は、プロセッコの故郷。フレッシュな味わいの食前酒で、価格が手ごろであることから世界中に輸出され、増え続ける需要に、2009年にDOCプロセッコProseccoを創設し、生産地区を大幅に拡大。爽やかなアロマを持ち、飲み心地のよいプロセッコは今後も市場が伸びると予測されています。

素朴で味わい深いヴェネト料理

ヴェネト料理はヴェネツィアをはじめとする海岸部の魚介類を主体とする料理と、内陸部の肉、米、野菜を中心とした料理に分かれているのが特徴です。

海岸部では前菜の鰯の南蛮漬けサルデ・イン・サオールSarde in saorが有名。イカ墨を使ったリゾットやスパゲッティ、リゾット・アル・ネーロ・ディ・セッピア Risotto al nero di seppia、スパゲッティ・ アル・ネーロ・ディ・セッピア Spaghetti al nero di seppiaが人気があります。アドリア海の魚の炭火焼きも頻繁に食べられています。

内陸部では米やポレンタがよく食べられ、グリーンピースとお米を煮込んだリゾット風の料理リージ・エ・ビージRisi e bisiはこの州らしい素朴な料理としてぜひ知っておいてほしいです。インゲン豆のスープにパスタを入れたパスタ・エ・ファジョーリPasta e fagioli とともに家庭的な味わいが魅力です。

干鱈をミルクで煮込んだ料理バッカラ・アッラ・ヴィチェンティーナBaccala’ alla vicentinaも有名です。この料理には、ポレンタが添えられることが一般的です。

仔牛のレバーを玉ねぎと炒めたフェガト・アッラ・ヴェネツィアーナFegato alla veneziana、馬肉を長時間煮込んだパスティッサーダ・デ・カヴァルPastissada de caval(ヴェローナの名物)は、この州の肉料理の代表となっています。

出典・引用・参考資料/

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社