シチリア州

イタリア最南端にある、イタリア最大の州

地中海のど真ん中という戦略的に重要な場所に位置していることもあり、古代から様々な文明の十字路であり、いくつもの民族、文明がこの島を通り過ぎていきました。シチリアを支配していた民族の文化、文明、習慣、風習を受け入れながらシチリア文化を築いてきた歴史背景があります。

古代からギリシャ人、フェニキア人、カルタゴ人が頻繁に往来していたが特にギリシャの元で反映しました。その面影は、今でもアグリジェントやセリヌンテの神殿群、セジェスタ遺跡などに見ることができます。

その後、カルタゴの支配を経てローマ帝国の一部となりました。この時代は、穀物栽培が盛んになりシチリアは「ローマの穀物庫」と呼ばれていました。

その後は様々な支配者がシチリアを収め、イタリア王国の一部となりました。

土着品種の宝庫、シチリア

西アジア原産のヴィーティス・ヴィニフェラがギリシャを経て、シチリアに到着し古代ローマ帝国領土拡大とともに北上していったことを考えると、ほとんどの品種が一度シチリアを通過したとも考えることができます。

実際にシチリアは土着品種の宝庫であり、白ブドウではインツォリア、カッリカンテ、グリッロ、グレカニコ、カッタラット、ミネッラなど。黒ブドウでは、ネーロ・ダヴォラ、ネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロ・カップッチョ、フラッパート」、ペッリコーネなど数えきれないほどの品種があります。

シチリアは、ヴェネト、プーリアと並ぶワインの生産地で、戦後の高度成長期には、大量バルクワインを造り国内外市場を席巻しました。1990年代後半からは、高品質を目指すワイナリーが増え、世界中でシチリアワインブームが起きました。2000年以降は、国際的なワインよりも、テロワールを表現したワイン造りにシフトしています。

多様なテロワールが混在しているので、「シチリアワイン」と一言で捉えることは、とても難しいと言われています。海抜レベルの畑から、標高1,200mの畑まであり、土壌も真っ白な石灰土壌、鉄分を含んだ赤い土壌、火山性土壌など実に多様です。アフリカに近い温暖な気候の産地から、アルプスに近い気候のエトナまで、気候も地域で全く異なります。収穫も7月後半から11月半ばと3か月半にも及ぶのも特徴です。

そのため、シチリアは「島」というより「小さな大陸」と考えたほうが適切だと言われています。

シチリアというと海を思い浮かべるが、実は山も多く、北部のシチリア・アペニン山脈にはペロリターニ山塊、ネブロディ山塊、マドニエ山塊があり、内陸部は夜の温度がかなり下がる産地も多いです。海岸地帯は温暖な地中海性気候で、特にシラクーサ、アグリジェント、メンフィなどの南部はシロッコの影響を受けるので、夏はかなり暑くなります。

南というイメージとは全く異なるテロワールを持ち、「シチリア島の中の孤島」と表されるのがエトナです。今も噴火を続けるヨーロッパ最大の活火山の麓という信じられない産地エトナでは、酸とミネラルが豊かで、シャープな味わいのDOCエトナEtnaが造られています。

エトナ・ビアンコは酸が強いカッリカンテが主体で、塩っぽいミネラルを持つ、とてもフレッシュなワインが生まれています。長期熟成能力が高いのも特徴です。エトナ・ロッソはネレッロ・マスカレーゼ主体(少しネレッロ・カップッチョがブレンドされることもある)で、繊細で、生き生きとした、優美な赤ワインが生まれ、「地中海のブルゴーニュ」とも称されています。シチリア島内外から多くの生産者が進出していて、世界で最も注目されている産地の一つです。

シチリア唯一のDOCGであるチェラスオーロ・ディ・ヴィットリアCerasuolo di Vittoriaやシチリアを代表する黒ブドウであるネーロ・ダヴォラ(50-70%)に、フラワリーで優美なでフラッパート(30-50%)がブレンドされることにより、優美で軽やかさを持つワインとなり、幅広い料理にマッチします。

島の東南端パキーノは卓越したネーロ・ダヴォラの産地です。海に近い石灰土壌で生まれるネーロ・ダヴォラは凝縮した果実味、フレッシュな酸、塩っぽい味わいを持つ個性的なワインとして支持を集めています。

島の西端のマルサラでは偉大な酒精強化ワインDOCマルサラMarsalaが造られています。生産規則が極めて複雑で、辛口から甘口まで、様々なタイプがあります。一時期は品質の低下し、料理用ワインに成り下がってしまい、まだイメージ回復に成功していません。

モスカート・ディ・パンテッレリア/パッシート・ディ・パンテッレリア/パンテッレリア Moscato di Pantelleria/Passito di Pantelleria/Pantelleria、マルヴァジア・デッレ・リパリMalvasia delle Lipariなど甘口ワインも素晴らしいラインナップがあります。

さまざまな民族、文明の痕跡が残ったシチリア料理

前菜というより、おやつによく食べられている大きなお米のコロッケのアランチーノ・ディ・リーゾArancino di risoには、トマトソースで和えた米の真ん中に肉のラグーが入っているものと、バターで和えた米の真ん中にチーズが入っている2タイプがあります。米はアラブ人がシチリアに持ち込みました。

アラブ人の影響が明確なのは、トラパニ周辺でよく食べられる魚のソースをかけたクスクス、クスクス・ディ・ペッシェCuscus di pesceです。メインディッシュとして食べられていることが多いです。

シチリアは、パスタも有名で、鰯のパスタのパスタ・コン・サルデ Pasta con sarde、茄子とトマトのソースに熟成させたリコッタRicotta salataをかけたパスタ・アッラ・ノルマPasta alla Normaがよく知られています。

日本でもなじみのある野菜の煮込み料理カポナータCaponataは、ナスとトマトがとても美味しいので、名物料理となっています。

シチリアのオリーヴオイルは、非常に高品質なものが多く、世界からも常に注目されています。ぜひ、一度試してみてください。

出典・引用・参考資料

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国発行 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社