気候とテロワールに恵まれた州

地中海性の温暖な気候と、日当たりの良い丘陵地帯でブドウはすくすくと育ち、山からの冷涼な風により良質なアロマが形成され、それほど努力しなくてもよいブドウが栽培できるのが強みのアブルッツォ州。そんな背景があり、長年にわたり質より量を重視したブドウ栽培が行われてきました。
アブルッツォの地元民族は、激しい抵抗の末に、古代ローマの同盟となりました。ゲルマン大移動後は、スポレート公国、ノルマンの支配を経て、ナポリ王国の領土となり、1860年にイタリア王国に統一されました。歴史や文化も南部に近く、経済も遅れていて、戦前までは最も貧しい州のひとつで多くの移民がドイツ、スイス、ベルギーなどに出ていきました。
1960年代以降は、首都ローマとアブルッツォを結ぶ高速道路が完成したこともあり、徐々に経済発展をし、今では観光業も盛んです。
古代からブドウ栽培、ワイン造りが盛んに行われてきた

テラモ県のモンテプルチャーノは、凝縮感があり、濃厚で長期熟成向きなことで長年知られていましたが、2003年にモンテプルチャーノ・ダブルッツォ・コッリーネ・テラマーネとしてDOCGに昇格しました。
ペスカーラ県では、ローレト・アプルティーノの美しい丘陵地帯で、調和のとれた優美なモンテプルチャーノが造られています。
キエーティ県は大きな生産者協同組合が多く、大量生産で有名でしたが、昼夜の温度差が激しいマイエッラ山塊近くでは、パワフルなモンテプルチャーノが生まれています。
ラクイラ県は厳格なモンテプルチャーノでも注目を集めています。昔は冷涼過ぎる産地でしたが、今は温暖化のおかげでブドウが成熟するようになり、急速に品質が高まりました。
独自の食文化が根付いた、アブルッツォ

アブルッツォの料理は、地理的に孤立していたために、独自のアイデンティティーを保っているのが特徴です。
羊飼い料理が基本で、サラミ、チーズ、パン、パスタなどが主体の素朴な料理です。豚の丸焼きのポルケッタPorchettaは、他州と違って子豚ではなく大きな豚を使用するのがアブルッツォ流です。アブルッツォらしい料理がペーコラ・アッラ・コットーラPecora alla cottoraで、大きな銅鍋でスパイスとハーブを効かせて羊を長時間煮込んだくせの強い味わいです。唐辛子をよく使うことも特徴的です。
出典・引用・参考資料/
『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社