バジリカータ州

古代からルーカニアと呼ばれた地

古代はマグナ・グラエキアとしてギリシャ人のもとで栄え、その後ローマ帝国に併合されました。西ローマ帝国崩壊後は、東ローマ帝国、ランゴバルド族、ノルマンの支配を経て、ナポリ王国の一部となり、イタリア王国に組み入れられた歴史があります。

地理的に孤立していたため「忘れられた州」となり、経済発展が遅れて貧しく、多くの移民が海外に出ていきました。ただ、その遅れゆえに独自の文化、野性的な自然が残っていて、21世紀に入ってからそれらの要素が見直されています。

バジリカータの人たちは、典型的な山の民族で、寡黙で疑い深くなかなかよそ者を受け入れてくれませんが、一度友人になると義理堅く、深い情を持つ人々です。

南部を代表する、厳格なワインアリアニコ・デル・ヴルトォレ

バジリカータのワインと言えば誰もがDOCアリアニコ・デル・ヴルトォレAglianico del Vulture を思い浮かべるでしょう。しっかりとした酸、タンニンを持つ、厳格なワインですが味わいはみずみずしく、ミネラル分にあふれています。

アリアニコ・デル・ヴルトォレは厳格なワインで、同じアリアニコで造られるカンパーニア州のタウラージに似ていますが、さらに濃厚な味わいです。

2000年前後に濃厚なワインが世界的ブームとなった際、多くの新しいワイナリーが誕生しました。内陸部にあるヴルトォレは大陸性気候で南にしては冷涼です。ブドウ畑は標高300-700mの丘陵地帯にあり、晩熟品種であるアリアニコの収穫は11月になることも珍しくありません。それにより堅固な酸とタンニンを持つ、厳格なワインが生まれています。

リオネーロ村、バリーレ村周辺の畑は標高550-700mと高く、気候も冷涼、溶岩が細かくなった土壌から、厳しい味わいのワインが生まれています。最もヴルトォレらしい地区です。

ヴェノーザ村からプーリアとの州境にかけての高地は、標高400-500mで、粘土が混ざる比較的豊かな土壌で、そこで造られるアリアニコは直截な果実味を持ち、親しみやすく、日常的に飲みやすい。どちらにしても羊や山羊のローストに合う長期熟成型赤ワインです。

アリアニコ・デル・ヴルトォレ以外に3つDOCがありますが、残念ながら、生産量が少なく州外で見かけることはほとんどありません。

赤唐辛子、野生のハーブがよく使われる農民料理

素朴な農民料理が中心で、赤唐辛子と野生のハーブがよく使われます。バジリカータ州内も交通の便が悪いため、村ごとに料理が少しずつ異なるのも特徴です。

豚がよく料理に使用され、サラミや生ハムは常に食卓に並んできました。豚の内臓を使ったサラーメ・ペッツェンテSalame pezzente、粗挽きの豚肉のサラミのソップレッサータSoppressataなどが知られています。

サラミをオリーヴオイルに漬けて保存することも多いですが、これは貧しかった時代の農民の知恵として今なお食文化として残っています。

ニュンマレディGnummareddiは、羊や山羊の内臓の串焼きで、バジリカータらしい料理です。バジリカータ名産の長い赤トウガラシを乾燥させたペペローニ・クルスキ Peperoni cruschi を茹でた塩漬け鱈と一緒に合わせたバッカラ・コン・イ・ペペローニ・クルスキ Baccalà con i peperoni cruschiも有名です。

ピニャータPignataは羊肉、サラミ、トマト、ポテト、玉ねぎ、赤トウガラシなどを陶器の鍋で煮る伝統的料理です。羊乳によるチーズも一般的で、とても美味しいです。

典・引用・参考資料/

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社