真面目で実直なピエモンテの人々
ピエモンテの人々は、派手なことが嫌いで控えめ、真面目な働き者が多く伝統を重んじて頑固なところもあると言われていますが、良く知ると親切で温かみのある人たちが多いです。豪華絢爛よりも、洗練された渋い通好みのものが好まれ、あまりイタリア人らしくないと言われることも。
ピエモンテとは、「山の麓」を意味し、その名の通りアルプス山脈の南側に広がっています。フランスに隣接する地理的位置からも、慣習、文化にもフランスの影響が色濃く見られ食文化、ワインも例外ではありません。
産業に目を向けると、19世紀末に誕生したフィアットの企業城下町トリノは、ミラノと並んで第二次世界大戦後のイタリア「奇跡の経済成長」を象徴する工業都市です。
トスカーナと並ぶ、高級ワインの産地ピエモンテ

イタリアでは珍しく、単一畑文化が根付いている土地であり、ネッビオーロ品種で造られる深みのある長期熟成能力の高い赤ワイン、バローロやバルベーラなどは世界的な名声を誇っています。
イタリアのほとんどの州と同じく、ピエモンテでも紀元前1500年ぐらいから原始的なブドウ栽培が行われてきましたが、本格的なワイン造りが定着したのは古代ローマ時代です。19世紀後半には辛口ワインとしてのバローロが完成し、長期熟成能力を持つ偉大なワインとして、名声を獲得した歴史があります。
中南部のクネーオ県では、ネッビオーロ三大のDOCGであるバローロ、バルバレスコ、ロエーロが造られています。DOCGバローロBaroloは「王のワイン」として讃えられていて、ネッビオーロの力強さ、厳格さがもっとも出る呼称です。DOCGバルバレスコBarbarescoはバローロと並び高貴なワインで、繊細さ優美さが特徴です。
北部では、ノヴァーラ県、ヴェルチェッリ県、トリノ県でネッビオーロをベースに造られる赤ワインが近年目覚ましい復興を遂げています。ヴェルチェッリ県で造られるガッティナーラGattinaraは、過去にはバローロにも勝る名声を誇っていました。肉づきが良く、深みがあり、力強く、タンニンが多く酸が多いので長期熟成させる必要があります。
ノヴァーラ県で造られるゲンメGhemmeも高貴なワインで、ガッティナーラGattinaraと比べるとより女性的で優美です。このふたつのDOCGが有名ですが、他にもボーカBoca、シッツァーノSizzano、ファーラFara、ブラマテッラBramaterra、レッソーナLessonaなどのDOCがあり意欲的な生産者が良質なワインを造っています。
ネッビオーロ・ベースのワインで忘れてはいけないのが、DOCカマーレCarema。バラやスミレ、スパイス、なめし皮、タバコなど複雑な香りがあり味わいはフレッシュで厳格です。
トリノ県の白ワインDOCGエルバルーチェ・ディ・カルーソ/カルーソErbaluce di Caluso/Calusoも個性的なワインで注目に値します。エルバルーチェは非常に酸が多い品種でフレッシュで清らかな辛口白ワインが生まれます。
地元で愛されているのは、バルベーラで、DOCGバルベーラ・ダスティBarbera d'Asti、DOCバルベーラ・デル・モンフェッラートBarbera del Monferratoなどの呼称で果実味が持つ酸の生き生きとしたチャーミングなワインが造られています。
リグーリアとの州境に近いところで造られるDOCGガーヴィ/コルテーゼ・ディ・ガーヴィ Gavi/Cortese di Gavi は、地中海の影響を受ける温暖な気候で、コルテーゼが完璧に成熟し類まれなる優美なワインとしての知名度を誇ります。
地元の人たちが、毎日食卓で楽しむのは、デイリーワインのチャンピオンと言われる、フルーティーなドルチェットDolcetto、フレッシュなバルベーラBarberaが挙げられます。
前菜が実に充実しているピエモンテ料理

たとえばピエモンテの前菜と言えば、牛の生肉を刻んだものにレモン、塩をかけたカルネ・クルーダ・バットゥータ Carne cruda battuta、ピーマンにツナ、ケッパーなどを詰めたペペローネ・リピエーノ Peperone ripieno、仔牛の薄切りにツナマヨネーズのソースを添えたヴィテッロ・トンナート Vitello tonnatoなど、どれも本当に美味しいです。
パスタは、卵入り手打ち細麺のタイアリン Tajarin が有名で、肉のラグーソースをかけたり、バターとチーズと絡めたりして食べられています。
肉を詰めた小ぶりのラヴィオリであるアニョロッティ・デル・プリンAgnolotti del plinも自慢の一皿として知られています。
北東部のヴェルチェッリ県、ノヴァーラ県は米の栽培が盛んで、高級米カルナローリが有名で、それを使ったリゾットも名物です。
メインディッシュでは牛肉の塊を野菜とともにワインでマリネしてから、長時間煮込んだブラサート Brasatoが有名で、かなり脂っこい料理です。
オリーヴオイルにアンチョビ、ニンニクを入れて火にかけながら、野菜にそのソースを付けて食べる料理バーニャ・カウダBagna caudaは日本でも親しみを持たれている料理です。
食材としては高級なアルバの白トリュフが名声高い! その他、トンダ・ジェンティーレ種のヘーゼルナッツ、チーズも種類が豊富で非常に美味しいです。
スローフード運動はピエモンテが発祥で、スローフードが創設したポッレンツォの食の科学大学は優れた食文化を守る人材を育成を現在に渡りしています。
出典・引用・参考資料/
『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社