トスカーナ州

イタリアを代表する高級ワインの産地、トスカーナ

丘陵地帯が続く美しい州で、私たちがイタリアを思う時に真っ先に思い浮かべるルネッサンス絵画のような風景が広がっています。単一栽培ではなく、さまざまな作物をひとつの農園で栽培する伝統があり、ブドウとオリーブがバランス育てられている伝統的な風景も残っています。

トスカーナに文明が花開いたのは、紀元前9世紀にエトルリア人が登場してからで、ブドウ栽培とワイン造りの高い技術を持っていたことでも知られています。

トスカーナの支配権を巡るシエナとの争いに勝利したフィレンツェは、銀行業で富を蓄えたメディチ家をリーダーとして、14、15世紀に大いに栄え、ルネッサンスの中心地になりました。

1716年にトスカーナ大公コジモ3世がカルミニャーノ、キアンティ、ポミーノ、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラのワイン産地地の境界を定めたが、これは世界最初の原産地保護の例として有名です。

19世紀後半には、有名なベッティーノ・リカーゾリ男爵がキアンティのブレンドを定めました。

1970年代からアンティノリらがリーダーとなり、ワイン造りの近代化を進めてきました。イタリアワイン・ルネッサンスと呼ばれるこの運動をピエモンテとともに牽引したのはトスカーナであり、今もなお、イタリアワインの最先端を走り続ける州です。

キアンティ・クラッシコなどの伝統的産地に加えて、ボルゲリ、コルトーナ、スヴェレートなどの新興産地も注目されています。

伝統と歴史を胸に、新しい発想も大切にしたワイン造り

フィレンツェ県、シエナ県にはサンジョヴェーゼの3大呼称である、DOCGキアンティ・クラシッコ Chianti Classico、ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノVino Nobile di Montepulciano、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ Brunello di Montalcinoがあります。

キアンティ・クラシコは、香り高く、酸がしっかりとしていて、ミネラルのトーンがあり非常日優美なワインで、このあたりはイタリアワイン・ルネッサンスを牽引してきた産地であり、優れた生産者も多いです。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、サンジョヴェーゼ100%で造られる力強い赤ワインです。このあたりは、もともと軽やかな白甘口ワイン、モスカデッロMoscadelloの産地でありましたが、19世紀にビオンディ・サンティが造り始めた長期熟成赤ワインが成功を収め、現在ではイタリアを代表する赤ワインの産地になりました。国内外でも知名度は抜群で、イタリアでも「贈答品にはブルネッロ」と言われるほど高級ブランドのイメージの確立にも成功しています。

ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノは、ブルネッロほど力強くはないが優雅な高貴なワインとされています。タンニンが厳格になりがちだが深みのあるワインです。長期熟成にも適します。

キアンティもサンジョヴェーゼをベースに造られ、イタリアで最も知名度の高いワインとして世界中の人たちに知られています、生き生きとしたチェリーやスミレの香りを持ち、口中では果実、酸、タンニンのバランスが良いです。生産量がイタリア第3位ととても多く、フードフレンドリーなワインが求められる近年の傾向はキアンティにとっては追い風です。

その他にも、さまざまなワインがありますが、ひとつピックアップしておきたいのがDOCボルゲリ・サッシカイアBolgheri Sassicaiaです。1968年に誕生したサッシカイアは、当時のトスカーナでは珍しいボルドー品種ブレンドで造られたワインであったが、みずみずしい優美な味わいで世界中で高く評価されました。

その後、たくさん新しい生産者が誕生し、以前はシンプルなロゼの生産地であったボルゲリは、一気にボルドー・ブレンドワインのメッカとなりました。

素材の味わいを重視したトスカーナ料理

前菜には生ハム、サラミ、フィノッキオーナ、ラルドなどが並びます。鶏のレバー、仔牛の脾臓などでつくったパテをのせたパン、クロスティーニ・トスカーニ Crostini toscani も定番です。

また、トスカーナではスープを食することが多く、リボッリータRibollitaと呼ばれる野菜、インゲン豆、黒キャベツのスープ、トマトソースにパンを放り込んで煮込んだパッパ・アル・ポモドーロPappa al pomodoroは、その代表です。

メインディッシュは肉料理が多く、厚切りのTボーンステーキ、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナBistecca alla fiorentinaが有名です。豚背肉の塊をローズマリー、ニンニクを効かせてローストしたアリスタAristaや、牛の胃袋のトマト煮込みトリッパ・アッラ・フィオレンティーナ Trippa alla fiorentina はトラットリアの定番メニューとして多くの人を魅了し続けています。

出典・引用・参考資料/

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン2018~2021年版』発行所/株式会社ワイン王国 監修者/宮嶋 勲 協力/日欧商事株式会社